就活に失敗した私は泡由良にしばらく飼われることになった
気がついたら私は服を着ておらず、首にはリードを付けられてキッチンに放置されている
"飼う"という言葉に嘘偽りはないようだ
フローリングなので床が固く、ずっと座っているには酷く居心地が悪い
ただ、住まわせて貰ってる立場なので、私は何も言わないようにしていた
リードに繋がれた私が日々することと言えば、泡由良がパソコンに向かって仕事をしているのを遠巻きに眺めることだけだった
ある日の夜
泡由良は「出かけてくるー」と一言言うと外へ飛び出して行った
しばらくして「ただいまー」と紙袋を抱えて帰ってきた
マクドの紙袋のようだ
「ごはんだよー」と言うなり、泡由良は手に取ったハンバーガーを私の顔面に投げつけてきた
柔らかくも重量感のある物体が飛んできたのでそれなりに痛かった
住まわせて貰っている上にご飯も用立てて貰っているので、私は何故かその行為に対してとやかく言おうという気を起こさなかった
普通にお腹が空いていたので、私は大きく形を歪めたハンバーガーを口いっぱいに頬張った
ピクルスが美味しかった
泡由良は紙袋を傍らに置いたきり、再びパソコンに向かっていそいそと作業をしている
仕事が立て込んでるのだろうか
ハンバーガーを投げつけてから私には一切の関心を持っていないようだった
きちんとご飯食べて欲しい・・・と思いながらその日は膝を抱えて横になって寝た
床がヒンヤリして心地よかったので案外すぐに眠りにつくことができた
また別のある日
泡由良はパソコンに向かいながらなにかご飯を食べている
この感じだと今回はご飯無しかなぁ、とお腹を鳴らしながら床で寝転がり落胆していると、泡由良が徐にこっちに近寄ってくるのが見えた
さっと身体を起こすと、泡由良は私の目の前で屈んで、もごもごと口を動かしながら、じっと私の事を見つめていた
何故こっちを見ているのか全く見当がつかなかった私は、怖くなって少し後ずさった
すぐに背後の壁にぶつかって逃げ場が無くなり、泡由良の方を見ることしか出来なくなった
その時、泡由良は私の体に馬乗りになり、手首をぐっと床に押さえつけ、そのまま唇を私のに押し当ててきたのだ
一瞬自分に何をされているのか分からず、呆気にとられてしまった
なんでこんなことされているのだろうと頭が真っ白になった
次の瞬間、泡由良の真意に気づいた私は、泡由良をなんとか剥がそうと抵抗を試みたが、馬乗りで体重をかけられているせいで全く身動きが取れない
泡由良の華奢な身体のどこにそんな力があるのか分からないが、じたばたと暴れようとする私の腕も完全に封じ込められてしまった
しばらくして抵抗を諦め、どうしようもなく惚けていると、口の中に泡由良の舌が入り込んでくる
次第に何かが流れ込んでくる感覚がした
ぐちゅぐちゅと、泡由良の咀嚼した何かが口の中に押し込まれる
直に嗅ぐ泡由良の甘い匂いと、泡由良の唾液と混ざりあった元が何だったかも分からない食べ物の味、泡由良の柔らかな身体の感触
様々な感覚が混じりあって、再び何も考えられなくなった
泡由良はどうしてこんなことをするのか、私は一体何を食べさせられたのか、もう何もかも気にならなくなってしまった
過剰なストレスを一遍に感じたせいか、私は半ば泣きそうになり、事が終わるまで涙ぐむことしか出来なかった
泡由良は、長い時間かけて咀嚼したものを一通り流し込み終えると、ようやく唇を離す
自分のされたことに気持ちが追いつかず、私はしばらく放心する他無かった
そんな姿の私を、泡由良はどんな気持ちで見ていただろう
泡由良はどんな表情をしていたのか、涙で前が見れなかった私はそれを知ることはできなかった
また別の日の夜
泡由良がこれから配信をするので静かにしていて欲しいと言う
住まわせて貰っている以上私は泡由良に逆らえないので、無条件にそれを了承した
静かにしていてねと目隠しと猿轡を付けられ、手首足首をロープで一纏めに縛られた
泡由良は、身動きの取れない私をげしげし蹴飛ばしつつ隣の部屋に押し込んだ
身体中が酷く痛んだ
戸を閉める音がして、いよいよ何もできない
何も見ることができずやれることもないので、ただただ考え事をして時間を潰すしかなかった
床がひんやりとして心地良い
しばらくして無心でいると、壁が薄いのか微かに泡由良の喋る声が聴こえてくる
普段喋る時とは声色が全く異なるので、もう既に配信は始まっていると察せられた
依然として特にすることも無いので、泡由良の話している内容を聞こうと試みたが、断片的にしか聞き取れない
時折、泡由良特有の「うふふふwうふふふwwうふふふwwww」という笑い声が聞こえる
高頻度でそれが聞こえてくるので頭がおかしくなりそうだった
気がついたら意識を失っていた
あまりに退屈だったので眠ってしまったのだろう
猿轡のせいで涎が垂れ流しになって、床がべたべたになっている気がする
耳を澄ますと、まだ微かに泡由良の声が聞こえてくる
声色がいつものに戻っているのを鑑みるに、既に配信は終わっていて、誰かと通話しているみたいだ
早く拘束具解きに来てくれないかな、と壁に何度か体当たりをかましたが、結局解きに来たのは次の日の朝だった
「あっごめん普通に忘れてた…wうふふふふw」
ある大雨の日
窓から見る空は灰色で、雨音が騒がしい
そんな天気も災いしてか、泡由良との生活を経る中で、精神が若干病みつつあった私は、ふと思い立って泡由良に血が飲みたいとせがんでしまった
泡由良は少し考える素振りを見せると、徐にカッターナイフを手首にあてがい始めた
すっとカッターナイフを動かすと、次第に手首から血が伝い落ちてくる
そうして泡由良は、切った手首を私の頭上に持ってくると、なぜだかじっと私の顔を見つめてきた
見つめられるのはあまり得意ではないので、少したじろいでしまった
小っ恥ずかしいからそんな目で私を見ないでくれと心の中で呟いた
泡由良の血液がぽたぽたと頭に落ちてくる
額、鼻筋と伝い落ちて、次第に口の中にも伝ってくる
それを一口舐めると、口の中いっぱいに鉄の味が広がった
泡由良の血液も例外なく鉄の味がするんだと少し感動した気分になった
血で喉がいがいがして少し気分が悪い
しばらくして、血液の出が悪くなったのか、泡由良はもう一度手首にカッターナイフをあてがうと、すっと切る素振りを見せた
そうして切った手首を、今度は私の口に直接押し当てて来た
直に舐めろってことかな、と思った私は素直にそれを受け入れた
ふと泡由良の方を見ると、顔色が悪くなっているように見えて、血液が飲みたいだなんて言った事を少し後悔し始めていた
ちろちろ、ちろちろと泡由良の血液を貪っていると、だんだん気分が悪くなってきた気がした
喉を通る血液が凝固して、血の塊のようなものが喉にへばりついていて、気になってしようがない
喉の血の塊を吐いてしまおうと、一旦泡由良の手首から口を離すと、唐突に泡由良は私を床に押し倒してきた
突拍子もない行動に訳が分からず困惑していると、泡由良は切った手首を無理矢理口元に押し付けてくる
私を見下ろす泡由良の目が酷く恐ろしかった
お前が言い出したことなんだからちゃんと飲めよと言われているような気がした
もう血液の味に食傷気味になっていた私の身体は、血の味に拒絶反応を起こそうとしていた
否が応でも流れ込んでくる泡由良の血を、嘔吐してしまわないように、ゆっくりと慎重に飲み込んでいった
そのうちに自分の脳は、喉のイガイガとした感覚を、喉の中で羽虫が2、3匹舞っているかのような感覚と錯覚し出し始めたのだ
気持ち悪すぎて気持ち悪すぎてどうしても吐いてしまいたいという強い衝動的な気持ちを、人の首を絞めて殺すような気持ちでぐっと抑え続けた
目に映った泡由良の顔を見ると、心做しか今にも倒れてしまいそうなほど顔色が悪く見えた
数ヶ月もあれが来ないような虚弱な体質の女性の人にこんなことをさせてしまった事を、私は心の中で酷く後悔していた
死にたくなる程自分が嫌になった
しばらくして、泡由良は力無く立ち上がり、ふらふらとベッドの方へ立ち去っていった
不快感と後悔だけが喉にへばりついて、床に倒れたまま、ずっと泣きじゃくることしかできなかった
ごめんなさい、ごめんなさいと何度も心の中で唱えながら、視界に霞がかかるように意識を失った
ある日の夜
目が覚めると、私は自動卓に覆い被さるように寝ていた
あれ?私昨日何してたんだっけ・・・
直前の記憶を呼び覚まそうとしつつ身体を起こそうとすると、手足が卓に拘束されていることに気がついた
このままでは身動きが全く取れないし、なによりこの格好のままなのは普通に恥ずかしいので、泡由良に助けを求めようとした
しかし、そもそもこんな仕打ちをしたのは泡由良だと言う可能性に気付き、だとすると、これから自分の身に何をされるのか分からない恐怖で感情が支配された
しばらくすると、お風呂上がりの泡由良がやってきた
「あ、〇〇ちゃん起きたー?」といつものトーンで口を開く
いつも通りの声色なのが余計に怖かった
早く解いてと私はゆさゆさ揺れて見せたが特に反応は得られなかった
そのうち泡由良はぴっちりとしたゴム手袋を手にはめ始め、手のひらに何かを垂らすと、ぬちぬちと手の甲までそれを塗り広げていく
そうした様子をまじまじと見ていた私は、泡由良がこれから何をするのか、その魂胆を全く読むことができず、ただただ慄くことしか出来なかった
私の後ろに泡由良は立つと、指を1本、つぷぷとナカに差し込んだ
くちゅくちゅと内部を掻き回す物言えぬ感覚が下腹部からぐつぐつと湧き上がる
どうして私はこんな辱めを受けなければならないのだろう
身体を強ばらせ、変な声を出してしまわないように、じっと堪えることしか出来なかった
そのうち泡由良は、差し込む指の数を増やし始め、最初は1本だったものが、5本にまで増えていった
泡由良は時間を掛けてゆっくりと穴を拡張していく
そのうちに、握り拳をそっと入口に添えると、そのまま力を込めてぐっと押し込んだ
潤滑剤のせいか、穴はなんの抵抗もなく泡由良の手を受け入れた
じわじわと、強烈な異物感に襲われる
「う、ぁぁ…っ」
思わず出てしまった嬌声に一瞬恥ずかしさが脳裏を過ったが、すぐに下腹部の違和感で頭の中を埋め尽くされた
痛い、痛い、痛い、痛くて怖い
いくら華奢な女性の手と言えど、お尻に入れるには握り拳はあまりに太く、一気に差し込んだ衝撃で少し血が出ている感覚がする
やめて欲しい、痛い、怖い
完全に恐怖で心を支配された私は、こんな地獄早く終わればいいのにと泣きながら祈ることしか出来なかった
その後も泡由良は入れた手を前後に動かしたり、中で開いたり閉じたりして、私のお尻を弄んでいた
手で虐げることに満足したのか、泡由良は、男性器を模した器具を徐に自身の股間に装着し、意気揚々と私の後ろに立った
それなりに大きいモノを着ける所を目の前で見せつけられ、そんなものでこれから自分は何をされるのか、嫌でも想像が付いた
泡由良は、緩くなっていた穴にソレを充てがうと、ゆっくりと腰を埋めていく
ひんやりとした固い材質のモノが、私の内側にずぷぷと入り込んでくる
絶え間無く湧き出る異物感をぐっと握り拳を作って堪え続けた
ソレを全て差し込み終えると、泡由良は私に半ば覆いかぶさる姿勢になり、ゆっくりと出し入れを繰り返す
泡由良が私の上で動く度に、泡由良の温い体温、柔らかな身体の感触が、背中越しに伝わってきて何故だか安心する気持ちになった
ああ、泡由良はこんなにも柔らかくて温いのに、どうして私の内側で蠢くモノはこんなにも固くて冷たいのだろうと
外側と内側とで感じる対照的な感覚と、無意識に泡由良に縋ってしまう自分の存在に酷く苛まれた
どちゅどちゅと、出し入れする勢いは増していく
太くて長いソレが出入りする度に、甘い声を抑えることができず、喉奥から変な声が漏れる
「うっ、ぐっ、んっ、んぅ」
とうとう泡由良の責めに善がる自分がいることに気付き、ナカを突かれる度に自分が自分で無くなってしまうような感覚に襲われる
ただひたすらにそれが怖かった
何度も何度もナカを突かれるうちに、私は幾度か果ててしまった
果てる度に、自分の中の何かが音を立てて壊れてしまった気がした
いつしか考えることをやめた私は、体液を垂れ流して、流れ込む快楽に身を委ねることしか出来なくなっていた
気が付くと、私はベッドで寝ていた
悪い夢を見たのだと一瞬思いかけたが、お尻がずきずき痛む感覚がして、これは夢では無いのだとすぐに悟った
意識を落ち着かせようと一度私は深呼吸をする
部屋中に広がる血の臭いと、酷く饐えた淫靡な臭いがする
身体中が何かでべたべたとしていて、これが自分の体液なのか、泡由良のものなのかはっきりとしなかった
やはり、あれは夢なんかでは無かったことを理解した
ふと隣を見ると、泡由良が寝ていることに気がついた
心が壊れてしまった私はもう何かに縋るしか無くて、私は、泡由良にぎゅっと抱きつくと再び眠りにつくのだった
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